羊蹄山(後方羊蹄山)1898M 
道南・道央地区で最高峰の成層火山
札幌地方からは、国道230号で定山渓や中山峠を通り喜茂別町へ抜けるルートや
国道5号線を小樽に向け西方向へ向かい海周りで倶知安町へ抜けるルートがある。
形が富士山そっくりなので「蝦夷富士」とも呼ばれている。
夏山ガイド(北海道新聞社)によると北海道開拓史に深い縁がある松浦武四郎が名づけ親で
後方羊蹄山(しりべしやま)と呼んだが、近年は羊蹄山(ようていざん)で通っているそうだ。

地図はこんな感じです(きたない黒線が今回通ったルートです)
@が今回のBC(ベースキャンプ)真狩野営場です。道道66号を北側に
右折し、入り口を登ると左側にキャンプ受付小屋があります。
料金は、テント1張りで400円と500円×人数分の料金です。
今回は1張りと2人なので1400円となりました。

登山を始めたばかりの時に、その面白さを満喫させてくれた登山の師匠
あお空さん と「いつかは登りましょう」と約束していた山を
とうとう登れることになりました

春先から「登るなら8月だね」と打ち合わせし
体力つくりと仕事のやりくりを算段しました
最初の登山予定日は、8月1日と2日だったのですが
折り悪く2つ玉低気圧が朝鮮半島付近で1つに合体する
最悪の天気図だったため予報を信じて1週繰り下げての実施です。

羊蹄山の登山ルートは、真狩と比羅夫、倶知安、喜茂別の4種類があります
どのルートも高度差があり角度のきつい登山道が続きます
7月8月はまだしも天候しだいで雪が心配されるほかの月は軽いハイキング気分では登れない山…ということになります
高度差は約1450M。登りに約4〜5時間、頂上の火口部を回る「お釜周り」に2時間
下山に3〜4時間の合計9〜11時間を行動する体力が必要です

お釜の様子を示した地図は次の通りです

今回は、黒矢印の通り反時計回りで頂上を攻め、最短ルートで1周する計画です。
ただし、アクシデントや体力不足、天候急変などがあれば、その限りではありません。
万が一の場合、リフトやゴンドラ、ロープウェイなどはない山です。


ヘリコの登場とは、あいなりたくありません。
十分気をつけなければいけない!と気は引き締まります。
もちろんこの山は、札幌から日帰りで…と言うわけに行かない山です。

どこかで幕営することが必要になります。
9合目付近に避難小屋があり100名は泊まれるようですが
今回は真狩登山口にキャンプサイトがありますのでここをBC(ベースキャンプ)とすることにしました。

(ベ・ベ・ベースキャンプ…なんと登山家らしい言葉でしょうか)
何のことはない…朝早く上って…次の日の夜遅くに札幌へ帰りましょう…と言う計画です(笑)
もちろん帰りには、公営の真狩温泉(500円/大人)にも入る予定です。
8月9日午後3時、キャンプだホイ!の用意をした2人はユウマ宅前に集合し、真狩へ向かいました。

国道230号の途中では早くも…これから目指すであろう「羊蹄山」が出迎えてくれましたのです(下)

ここで運転手を交代してドライブを進めます

車中での話は、どうしても仕事の話が少し混じってしまいます

「いかん!いかん!今日は楽しむのだ!」と極力かつ強引に話題を登山中心に
もっていきます(笑)

道案内に詳しくない2人は…




本来、留寿都から真狩へ進めば良いところを…
喜茂別町から倶知安方向へ右折してしまい(助手席に着いたユウマの安易さから)
「道はどこでも繋がっている!」とばかりに裏道街道をまっしぐら
なんとか真狩町へ到着して明朝の朝食をコンビニでゲットしました
街中を幕営地へ向かっているとナント!羊蹄山が真正面にあるではないですか!
道はまっすぐ山へ向かっています…「待ってろよ」とばかりに切り絵にしました

心なしか斜面が何箇所も崩れるようにガレていて斜面角度が急な模様が遠くからでもうかがえます
登山道が見えないので山の巨大さが想像できて武者ぶるいが来ました…空は…真っ青です。雲ひとつありません










予定していた18時より1時間早い、17時過ぎに野営場へ到着しました。
入り口で受付を済ませ、テントにぶら下げる受領証(荷札(笑))を貰い、迷うことなく2人で幕営の用意に入りました。
作業を進めていると、お互いキャンプ慣れしていることがわかりました。

なぜって?…初めて見るテントも組み立ての基本を知っているとポイントを聞くだけで「パタパタ」と仕上がっていくのです。
気心が知れているせいも手伝っているのでしょう…登山隊としては初の幕営ですが、実に安心して作業が進みます(中)。
野営場の位置を確認して(右)明日のことも頭に入れて受付で貰ったパンフをチェックします。

ここで一番肝心なのが、トイレの位置と水場の確認。

隊長のご飯の炊く手際の良さは、目を見張るばかり。
…ユウマが女なら間違いなく惚れてますね。
…その水加減の微妙さや…火加減の強さ…蒸らしに至る手際は、まさに立て板に水
…焦げができる「パリパリ」の音を聞き分ける技術と感!
…奥さんは…ここに惚れたんだぁ?…と妙に納得した一瞬でした。

さて、夕食の準備が済んで楽しい楽しい「ばあさんかい?」…違った…晩餐会が実施されました。







夜もふけて…隊長の秘蔵品「ガスランタン」が登場して発泡酒のピッチも上がります(19時30分)
背景に羊蹄山がいるので記念スナップを撮影しようとオートで撮影したら…真っ暗。
なのでちょっくら露出をマニュアルモードに切り替えてできる限りオーバーで撮影したら(右)…撮れるものです。

到着した時はランニング姿だったユウマも長袖、半そでシャツを重ね着しなければ寒くて座っていられない気温になりました
周りは20張り以上のテントがあります。家族連れや学生らしき団体さん、同じような男2人連れ、大型バイクの単独行など
組み合わせは、さまざまな様子です。特に学生の団体さんはテンションも上がり気味で「喧嘩騒ぎになるなよ」と心配が
されました。しかし、その疑念は無駄骨だったようです。思いもよらないことが夜中、ほかで起きたのです。


「そろそろテントに入りますか…」とランタンをテント内に移すとテントの色が浮き立って
実に綺麗です(22時20分)

ユウマは以前、道北の朱鞠内湖というところで2月にマイナス30度に達する夜
テントの大きさで上空へ向け、それぞれテントの色を持った光の筒が、50メートル近く
まぁ〜すぐに何本も何本も立っている光景に合い感動しました
その情景に負けないくらい星が輝き…明日を期待させる満天の夜空です



テント内では…
「すぐに寝れるタイプかい?」「いや〜…寝つきが悪い方でね」
「鼾かくらしいんですよね…」「大丈夫、大丈夫…年だから2、3時間も寝ればOKだから」
などと会話をしているうち…寝たかなぁ…?と自分で自分を疑うような、頭の中がボーとする時間…
それは起きました。午前1時半から1時間以上…近くの家族連れテントで発生したのです

「あ”あ”あ”ぁぁぁぁ〜ん!がえるぅぅぅ〜!」

「ママァァァァ〜〜〜〜〜〜!」


と5歳男児らしき遠吠えが要諦山麓に響き渡りました

「いつかは泣き疲れて眠るだろう」「この年齢の親は子育てが大変だから…」
と2人とも我慢を重ねた結果!熟睡したのは3時過ぎ…左画像は起床した朝5時6分のテントサイトの風景です
テントサイトの冷え込みは想像を絶する気温で…6時の時点で…10度!ポッキリ
夜中はきっと一桁の気温でしょう




迎え撃つ羊蹄山は…凛々しい姿を2人に示し、あくまでもその威厳を保ち続けます

「ど〜ん!と登って来い!」と言っているようです

朝食のインスタントラーメンを食べ、登山の用意を十分確認して登山口に車で向かいます
隊長の提案でテントは、昨晩の夜露でぐっしょり濡れているため
張ったままで登り、下山時に撤収する手はずになりました
無事下山できれば…あとは帰るだけです
盗まれて困るも貴重品は車中に移動して最低限の作業時間を計算しました



登山口に一番近い駐車場へ車を駐車して

「いざ出発!」

駐車場近く、登山口手前にある入山手続きを済ませ(左)
6時27分、登山口(399m)に到着
これから長い長い、しかしも充実した時間の始まりです





いきなり登山口から10mほどで「えっ!」と思う急斜面が
出迎えてくれました。「先は長い…ゆっくり行こう」
と覚悟を決めても心が逸ります
6時39分に1合目に到着(左)
小休止していた子供連れをパスしてズンズン進むと
6時46分に標識がある場所に着きました
地図にはない標識でした






6時54分、2合目に到着、58分には2合半をペース良く
確認できました(右)
しかし、2号目の次は3合目とばかり思っていただけに
2人ともこの標識を見て大笑いでした

「登ってやるぞ」との力みがここで取れて、良い意味で
2人の呼吸がシンクロしたような気がします






2合目半を過ぎても回りは鬱蒼とした林が続きます(左)

「3合目はどのへんだぁ…」と思っていると東側の木が
切れて朝日が差し込みました(7時5分)
日差しがきつく太陽が当たった部分だけジリジリします
登山道の角度は依然急なままです







3合目の標識を確認できないまま隊長を先頭に
登り続けること10分…下界が確認できて右前方に
尻別岳が見えてきました(右)

隊長と先頭を交代して登り続けました






「このままだったら次は4合目かもしれないね」
などと笑っていたら案の定4合目(右)でした(笑)
(7時31分)
すでに8人ほどが休憩していました
ここまで3パーティほどをパスしています
いずれも親子や私達よりお年寄りだったので
気にしていませんでした
しかし、その話をパートナーにしてみたところ…


「ユウマさん…充分早いです…」と貴重なアドバイス…汗をかく気持ちよさにかまけてドンドン進むことはやめました。

木の根に腰掛けて休んでいると洞爺湖畔が見える事に
気がつき写真をパシャリ

中央の中島の後ろに見えるのがウィンザーホテルです

15分ほど休憩して登山続行です






4合目を過ぎると周りの景色が一変します
大きな木と熊笹のコントラストで
木の幹が曲がり始めます(左)

夏ままだしも冬の厳しい気温と風の環境では
大きい木もまっすぐに伸びることができません
おのずと風のない方向へ…
温度の高い方向に木が捻じ曲がるのです




8時3分、5合目に到着(左)

後ろから着実に歩みを進める、あお空さんの姿が
心強いです







8時18分、昨日真狩の街中で羊蹄山を写した町並みが
確認できました(左)
「昨日はあそこに居たんだ…」と思うと考え深いです

8時27分、6合目に到着しました
楽に腰掛けられるほど登山道の角度がきついです

依然この角度を保ったまま道は続きます



・・・・・・・・・・・・・・・・・長くなりそうなので 続きます

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