空沼岳(1251m)
登山口(標高367m)から頂上まで標高差は884mと羊蹄山ほどでもないのですが、片道延長が7.7キロ
特にマミス沼から頂上までのルート上でホワイトアウトすると平坦な地形で読図が難しく、登るルートを見失いがちの山。踏み跡がない場合は特に要注意の山と思います

さて…昨年登った時は10月と紅葉シーズン真っ盛り。

当時は、あお空師匠の後を着いて行くだけで良かった初心者ユウマでした。

なので記憶にある夏道ルートは、印象といえば紅葉の綺麗さばかり…起伏や目印などルートの主要な場所の記憶が実にあいまい・もこもこです

地図とガイドを睨めっこして事前準備は十分すぎるほど行ってから出かけました。
先週24日にスノーシューやレイヤード(服装)の予行演習を兼ねて万計沼までの往復は実行済みです。


左画像で破線上を赤くしてあるのが夏道です。
万計沼から薄く赤鉛筆で描いているのは冬道ルート。
冬道ルートは、林の中をウロツク道です。

低木や熊笹が雪で見えなくなるまで雪が降り、シューやスキーが引っかからなくなるまで待たなくてはいけません。
今回は積雪約50から80センチといったところなので当然夏道を選択しました。
頂上に近づくにしたがい夏道がはっきりしなくなりましたので独自ルートで直登しました。

手稲山の未踏ルートを踏んだ経験がここで役に立ちました。何事経験が大切だと痛感します
朝は5時起きて紅茶や持ち物のチェック。
歯磨きをして、トイレに行って…新聞を読んで天気予報を確認していたら

「あっ!6時過ぎちゃった」と気が付き、指差し確認して6時22分に出発しました。
札幌地方の日の出時刻は6時44分。
空はウッスラ白みかけている程度でした。

予定では、午前7時に登山を開始して頂上に午前中到着、3時までに登山口に戻 る予定です。
天気予報は午前中快晴、午後から曇りで、3時から6時に雨か雪が降リ出す。
…と言ってましたので特にスピードを重視した登山を今回は心がけよ うと思いました。

それには、まず装備の選択が肝心です。
重い6本爪の軽アイゼンは不要。
耐寒用下半身レイヤードはオーバーパンツ(冬用)一本に絞り込み、ア ウターレイヤードは合羽と厚手のフリースとしました。

とにかく天気は快晴であると決め込み、決行したわけです。







途中コンビニでオニギリ2個を購入し、小林峠で食して朝焼けを撮影しました


















登山口に到着したのが6時40分、用意を整え出発したのが6時50分でした。
左画像
は登山口で最初に渡る橋の上から来た方向を写しています。
ようやく辺りが白茶けてきたばかりですが右画像 (7時25分)には朝日が林内部まで差し込み…じつにキレイです…

























登山口から万計沼まで距離が4・2キロ…(9時前に万計沼に着きたいなぁ)と思い、休憩なしの強行登山で登り続けると…なんと8時11分に到着です 。
1時間21分は自分でも早いと思います。沼は青と白のコントラストでクッキリ浮き上がり…幻想的な世界が広がっていました。
私だけの独占世界…鳥の鳴き声と沢の水音しか聞こえません。

登山口で入山届けをチェックすると先週、私が登った日いらい誰も登っていません。
…と言うことはこの沼から踏み跡なしの(3ないし4時間のひとり ラッセル…)を覚悟しなければならないのです。
一瞬怯(ひる)みましたが、ここで引き返せば男が廃(すた)る。行ける所まで行こう!と自分の弱気を奮い立た せました。



と言うわけで万計山荘の前で20分休み、シューを履いて、水分補給もバッチリ行い再出発です
左画像 の中央木の右側から夏道を探して進みました
すると…へこんだ形で夏道が続いています。(ラッキィ!)とばかりに足が軽くなりました
右画像 で凹んでいるルートを進みます
一人程度の踏み跡も確認できました







1071mピークを左手に迎えて(左画像)
まみす沼」も近いと考えていると…9時14分(右画像)
夏ならば木々や葉に邪魔され見通しが利かなかった沼もバッチリ見えてきました。

直線ルートで沼に近づくと思わぬ湧き水部分や吹き溜まりの陰などで「ズボッ!」と埋まりかねません。
怪しそうな部分は両手に持っているストックで先の部分を探りながら進みます。一歩ずつ進むのです。
「ザズッ!ザズッ!ザズッ!」ってな感じです。

しかし、ここで大変なことを発見しました。





なんと踏み跡がない!ではありませんか…
そうです…たった1人だけあった踏み跡が沼の前に来て引き返していました…シュン↓
しかたない…これから先は孤軍奮闘です


マミス沼からは、沼のすぐ横にあるもう一つの目標(1180mピーク)に沿って急斜面を登ります。
登り終え、少し進んだ地点で先が見渡せるようになりました。左画像(9時55分)
ま だまだ先は長そうなのでここで小休止しました。

実は足先が冷えてきて、このまま進むと感覚がなくなりそうだったのです。
どうやら下のレイヤードが気温に比 べ薄いようです。
外気はマイナス6度。

シューを履いてラッセルすると、自転車の泥跳ね上げのように粉雪が背中辺りまでかかります。
日陰になりやすい部分を長時 間歩くと、体は汗をかくくらい暑くても下半身が冷えてきて足に循環する血液が冷えます。
足先の血管が細くなり、血行が悪くなるようです。

さっそく冬用オーバーパン ツを穿きました。これが大正解!以後頂上まで冷えを意識することなく快調に登り続けることができました。
9時55分の画像で見える頂上には手前に大きな崖(急斜面)が控えています。
日陰部分になりその高さが偉容でした。「お前なんか登れるのか?はん?」てなかんじです。

周りの木々は霜降り状態で白白白…崖下に取り付くまで…両太ももが2回ほど吊ってしまっています。ここで師匠が教えてくれた「だましだまし戦法」を取る事にしました。


10時5分(左)に空沼岳と札幌岳を結ぶ縦走路が見える位置まできました。
10時24分(右)縦走路へ登る斜面に取り付き見上げると木々の姿が異様です。
そう…高度が高くなって枝や幹にビッシリ氷が貼りつき霧氷状態です。

夏道ルートは、枝に積もった雪の重さで木々がしだれてしまい、道を覆いつくして登れません。
何とか回り込んだりするうちに、めんどくさくなって札幌岳 との縦走路へショートカットして道なき道を進みました。
枝に摑まり、倒れた木に乗って這い上がり、全身を使っての登攀作業になりました。

(一人だからこん な無茶な登り方ができるんだよなぁ…)と半分呆れながら楽しみながら「はぁ!はぁ!…ぜぇ!ぜぇ!…」と息を切らして登り続けました。



10時48分(左)なんとか縦走路へ出て頂上方向を見ると
夏道ルートより札幌岳方面側(北西)へ100m以上それて登ったようです。
まぁ良しとしましょう。危なげなく登れたのですから

頂上へは夏道ルートが上手く発見できず、最南端から回り込むにして11時20分(右)、無事に登頂できました。(パチパチパチ)

後方羊蹄山が中央に綺麗に見えました








南方向には恵庭岳と漁岳が良く見えます
ウッスラ支笏湖も見えました
















後方羊蹄山を拡大しました

まるで掛け軸に写る富士山を見ているようです…


















































11 時半まで頂上で楽しみ…両太ももも完全回復したのでイッキに万計沼まで下ることにしました。
体力への挑戦です。12:40に山荘に到着。
するとどうでしょ う…到着する一瞬前に山荘の屋根の上に積もっていた雪が「どどどどっどど…」と雪崩れて落ちてくるではありませんか!

もう1分早く到着していたら雪の下敷 きです…溶けた雪とはいえ10センチ以上の厚さがあります。
(左画像はその雪崩れた跡を山荘の入り口手前にある階段に上がって撮影しました…一面が埋まっ ています)
ここでシューを脱ぎ、ザックに取り付け5分休んで再出発しました。






なんとか登山口には2時6分に到着です。出発から7時間16分の行程は暫くぶりのくたくたぶり姿になりました。

登山口にある工程看板では片道7.7キロ

高低差のある7.7キロはさすがに堪えました。



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