さて28日です

最初に感想と反省の言葉をしたためておきます。
感想は「厳冬期の山に恐怖を感じました」。反省は「侮るな。危険予兆を感じたらまず対処しよう」です。
 

一人ラッセルの強行登山を覚悟して、5時起きで自宅を6時に出発、漁林道入り口には6時50分に到着しました。
単独行の先行者が1人先に到着していて出発の用意が整い先に出発するようです。私は林道入り口向かいの歩道に乗り上げる形で駐車しました。





途中で写した恵庭岳が朝日を背にシルエットがキレイでした(左)。本日は午後から晴れの予想ですが。
まだ雲が多く、かなりの風に流されて空模様は安定していません。心が騒ぎます。
風の通り道になる頂上で、未経験の場所ですから不安半分・期待半分でしょうか。
出発前に気温を見ると…「−14度!」…冷えるはずです。

林道終点手前の尾根取り付き部分には、なんと40分で到着してしまいました。
ラッセルなし!下はカチカチのクラスト(凍っている)状態に「ふわっ」っとアスピリンスノーが5センチほど積った状態なので大助かりです。
(4日も12日もここまで1時間半かかっています)体力もバッチリです。










(左)前回引き返した地点の少し手前から、尾根に出るコースを選択。
オコタンペ湖(南)方向が見通せる位置にきて、前回最高到達地点でパノラマ撮影したら「こんな風景だったんだ …」と感動です(右上)。
前回は降りしきる雪で見通せず「・・・ここはどこ?」の状態でしたから(右下)。
ここまでナント!1時間半しかかかっていません!驚きです。(午前中に登れるぞ〜!)と心が踊ります





900〜950m付近にある3つのピークは、そのまま頂上方向に伸びている峰通りにトレースしていきます(右)。
雪庇が東側にできやすい地形です。(風が吹く方法が西から東のためです)
今回は、先週降った雨が雪を溶かし、その後の冷え込みで硬い氷に変身させられているのでガリガリの部分はスノーシューの歯型も付かない硬さになっていました。部分部分に吹き溜まりもあり…それが目視で判別できない状況です。
バフッ!」と右足を出せば左足が「ガリッ!」ってな感じですかね…。
それと登るにつれ、口からでる息が暖かいため顔を伝って上へ登ってくるのです。
眼鏡がその度、曇ってハンドタオルで拭かなければ先が見えなくなるのです。
何度もその作業を繰り返し(下山するまで)この付近になると眼鏡を拭いても曇りが取れない状態になりました。
しつこい曇りだな …」とよくよく見ると…蒸気ではなく…氷でした(笑)。
風が強くなりだしたため(峰を歩いているせいです)でしょう。
この900m付近で後ろを振り返ると(左)恵庭岳と奥に支笏湖(凍結していません)
手前にオコタンペ湖(完全凍結し、朝の冷え込みで気荒らしが出ていました)が見えてキレイでした。
この先は、多少の上り下りはありますが、気にしないでどんどん進めます。







900m付近のピークを過ぎると今度は950mピーク・1175mピークと段階を上げていきます。
しかし、今回先行者がいるので確認する作業が少なくなって大助かりです。
(ただただ踏み跡を追従しました(笑)。この程度の積雪ではラッセルはきつくありませんが、選択するルートで疲れが違います。
体に当たる枝の少ないルートとなるべく直線で登れるルートが望まれます。ここまで先行者は間違いを起こしていないようでした。

ここまでは…





(上左)950mピーク手前で左にトレースがそれていました。私も初めてなのでこれが1175mピークだと誤り追従することにしました。
しかし、本来ここは右にそれる場面でした。
下山時に東側を通るとスキーの跡がキッチリ残っています。
左上画像は1175ピークではありません。この奥に1175ピークがあります。
このちょっぴりポコ(950m)を左にそれて、また右方向(東)へ上り続けると1175ピークが見えてきます。
この時点で1175ピークは見えません。山の陰です。
ここを過ぎ、1175ピークに向かう途中で目印になる1本の枯れ木がありました(上右)。
この位置を過ぎて後ろを振り返った画像が下の画像です。まさに絶景かな…





いよいよ1175ピークが目の前に迫りました(左)

踏み跡が若干薄く見えるのはクラストしていて跡がつかないのです…

左にトラバースしています(正解です)帰りは頂上のピーク上に立ってみました。

これまた…えがった










上は後ろを振り返った画像です





ピークを越えてようやく漁岳の頂上が拝めました。(…なむなむ)左に連なっているのは小漁岳といいます。
縦走ルートで人気もあるようですが、今の私では…無理。テントも装備も本格的にならんといけません。

1175ピークを過ぎると最終コル(鞍部)に出ます。ここからの頂上は迫力でした。「来るなら来い!」テナ感じです。
先行者は既に頂上手前の急斜面を登っています。(画像では黒い点にしか見えませんが、それがまたスケール感を助長して…怖いくらいです…大きいのです)




頂上直下の急斜面に取り付くと晴れ間が覗くようになりだしました。頂に到着すればそこは青空か?と期待に胸が膨らみます。
振り返ってみると私はこの時点で浮かれていたのかもしれません。
足元のクラスト状態が段々厳しい状態になっていることが頭に入っていませんでした。
シューの爪が何とか氷の上に乗っているだけで深く刺さっているわけではありません。
それでも「何とかして滑らないように…」とツマ先立って歩くことや滑らない部分を探すことに集中してしまい後で選択ミスをしてしまいます。
シューの爪はアルミ製です。それも大きなギザギザで氷に深く刺さるほど鋭くありません。
階段の滑り止め部分に足の指だけをかけて登っていると想像してください。それが…何百mも続いているのです。
必死でした。この左画像の2百m先くらいでスノーシューを捨て(デポして)ストックと壺足で登ることを選択しました。
これは選択ミスではありません。先行者もザックにシューをくくりつけて登っているようです。

それにしても先行者は早く最後まで追いつけませんでした。



10時11分無事登頂に成功。先行者は20代と思しき無口な男性でした。
こんにちは!早いですねぇ」と話しかけると言葉でなく笑顔で返してくれました。
こういう場合、無理に話しかけるのは禁物です。笑顔で通じればそれで十分でした。
登頂時、とにかく風が収まっていないので切れ目なく雲が襲いかかってきます。
そのつど粉雪が吹きつけまるで極点にいるようです。気温はー16度!!!。少しでも恵庭岳方面に雲がなくなるのを待ちました。
結局20分ほど頂上看板を楯にして風を避けて待ちましたが晴れることはありません。
12時ころになれば晴れることは想像できましたが…そのころ私も雪像になっていそうです。
事実、オーバー手袋(下はユニクロのナイロン手袋)がマッシロに粉を吹いた状態でカメラが思うように操作できません。
全てオートの撮影です。





頂上の上り口方向を撮影しましたが、下が見えません 。


 もう少し近寄ると踏み後の方向に下で先行者が下山しているのが見えました。角度が急なので途中は見えません 。
私もそろそろ降りないと凍りつきそうです。手足の指がジンジンしてしまい凍傷になりそうでした。
(コルに着いて暫く握りこぶし運動と足指運動で何とか回復しましたが)
ここで私、選択ミスをしたのです。あまり寒いので降りることに気が行ってしまい頂上付近が一番クラストしていたことを軽く見てしまったのです。
一瞬「アイゼンを着けようか…」と思ったのですが、6本爪アイゼンはザックの下にしまい込んでいます。
オーバー手袋で取り出すのも装着するのも面倒な気がしました。「どれ…登れたんだから大丈夫か」と考えてしまったのです。
頂上から10mほどの間は踵を雪面に7〜8センチほど刺せました。
でも、そこから30m間は踵も刺させない部分が何箇所かあり、その度ルートを変えて難を逃れていました。
しかし、その幸運も長く続きませんでした。
シューをデポした部分の手前で右足の踵を雪面に蹴り込もうと踏み出した瞬間、そのまま踵が滑り20mほど「ザァーーー!」と滑ってしまいました。
停めようにも停まりません。右足が滑り右腰、右肩の順で雪面に放り出されたので持っていたストックで何とか体勢を作り直し、尻滑りの形にするのが精一杯でした。
なんとか吹き溜まりが20m下にあったので停まりましたが「もしこれがなかったら…」と考えると寒気です。下の左画像に滑った跡を表示しました。














なんとかシューを履いてコルに到着し放心状態でした。頭の中が真っ白(中)木も真っ白です(笑)。太陽は雲間に隠れて恥ずかしそう…
気を取り直して1175ピークの頂上を踏みしめ眼下を撮影し(右)ゆっくり下山します。いつもの通り、楽しみながらです。




今回のベストショットをパノラマで堪能してください(上)

降りてくるに従い晴れ間が多くなりました。もう一度挑戦してみたくなるほどすばらしい景色です




林道に続く尾根を下がっている途中しっかり頂上の様子が見えました(左)。4日の時と大違いです(中)。
駐車位置へ戻れば恵庭岳がクッキリ迎えてくれました。12時13分…車内で昼食と暖かく甘いローズヒップ紅茶をいただき1時半に自宅へ向かいました。
今年も小さなミスの繰り返すかも知れませんが、一つずつ一歩ずつ経験を積んで無事に帰りたいです。無事に帰るために…山へ登る…の繰り返しかな? 

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