積丹岳(1255.3m)  

夏道と違い登山口までのアプローチが長くなるため、厳冬期はスキーやスノーシューといった登降道具に応じた体力の自覚が必要です。

私自身、片道約6キロ、標高差約1100m以上の大事業に尻込みをしていました。夏道であれば4時間ペースでいける距離。
しかし、厳冬期の一人ラッセルを考えれば体力が心配でした。結果から言えば満点に近い納得のゆく結果となりました。頂上の標識を確認できなかったのが唯一の心残りです。

登山口へのアプローチ

札幌からは国道229号を積丹町を目指して進みます。
新豊浜トンネルを過ぎて古平町を経由、積丹町の美国漁港までは海岸線をなぞるように229号は西進しますが、美国で229号が左へ直角方向に変わると小さな峠道になります。
この峠を過ぎた辺りから積丹町婦美になります。1キロほど峠を下ると(左)の画像に当たります。

画像で「小川橋」の右に見える()看板が登山道の案内板(積丹岳登山口)です。229号沿いのすぐ先にバス停「登山口」があります。
ここを左折して道営農道特別対策事業婦美地区を直進します。今年は予算の都合か浄水場まで除雪してあるはずの道路が200m手前で除雪が止まっていました。
参考までに自宅(西区)を朝5時に出発して約2時間で到着です。













(中)は左折した部分の画像、(右)は駐車位置から浄水場方向を撮影したものです。

登山ルート






















1/25000地図で積丹岳ルートは余別と美国の2枚にかかる形です(画像の中央部分B付近に貼りあわせた跡が見えます)。
今回は2枚を貼り合わせルート上が見えるように折りたたんでマップケースに入れて使用しました。ちょうど画像が写っている部分です。
@が夏道ルートの登山口である休憩所位置です。

今回、夏道ルートをたどる形で登ろうと思ったのですが、休憩所を超えてからは夏道がハッキリせず、地形図とにらめっこする形で自分の思ったとおりに登りました。
なので事前に赤鉛筆で書き入れたものより少し西側にずれて登っています。
出発地点の追加と短縮ルートはGPSを持っていませんので多分、こんなものだろうと青線で書き入れてみました。




















上の左画像は浄水場を過ぎて最初の林道直線です。左方向から朝日が差し込んでいます。
いつものようにウサギの足跡が林道を横切り「自然の中にいるのだなぁ…」と実感がわきます。
スタートは7時15分、(左)が32分、(中)が59分です。休憩所前のS字カーブはショートカットルートを取りました。
画像で分かる通り前日のものと思われるスキー跡がウッスラあるので進行方向を気にしないですむため助かります。
(右)の画像を越えた辺りで先が開けている様子が伺えました。












8時20分 休憩所の手前に出ました(左)。林の向こうにかすかにそれらしき建物が見えます。近づくと休憩所と確認できました。
8時22分 (右)林道は休憩所の右(西)側に伸びています。スキー跡もそちらの方に向かっているので跡を追います。地図で確認しても間違っていないようです。























(左)「コレが夏道の登山道入り口か…」と感慨にふけっている間はありません。
予定では、ここまで1時間と踏んでいただけに時間オーバーが気になります。ラッセルの深さは膝下10センチくらい(右)。
思ったより深くありませんが、日本海側特有の湿った雪で…重い の一言です。












ヤフーの局地天気予報では、今日2月24日の予想は「午前中晴れ、午後から曇り」です。
しかし、ここは海がすぐの地形なのでひっきりなしに雲が流れてきますし、どうも雲が流れてくる方向は…頂上方向からでした。
山を過ぎた後に…雲がちぎれ…雲間から朝日が差し込んでいる様子です。(左)初めて後ろを振り返ると鉛色をした冬の日本海が垣間見えました。

これまで進んできた林道は、登山口までです。
マップで示したA地点で真西方向へ伸びる道らしき部分を進み途中でデポ旗代わりの赤テープが何箇所かありここから方向を若干南に変えて林の中へ分け入ります。
夏道にこだわってルートを探すより、ここからは地図を頼りに進むほうが利口だと考え用意した。

自分のデポ旗を所々方向を変えた部分で使用しました。下山時、天気の急変で降雪があり自分の踏み後が消された場合を考えました。
事実コレまで辿ってきたスキー跡は、まったく見えなくなっています。(右)真西方向に積丹岳横にある1123mピークが見えてきました。
しかし、肝心の頂上はホワイトアウトして見えません。この時点で「頂上がホワイトアウトして確認できなかったら下山しよう」と決めました。

山は逃げません。また残雪期の晴れ渡った時期を狙って再訪すればいいことです。














今回気温はマイナス8度程度で冷え込みを感じません。やはり海沿いだからでしょう。
西側にある隣の峰が合流した地点(マップ上B)で前方が開けました(上)。
右横を見るとハッキリ1123mピークがクッキリと…頂上らしきモッコリが霞んで見えます(下)。





























10時2分 行けども行けども頂上に繋がるピリカ台(971m)手前の取り付きに到着できません(上)。
積雪は相変わらず膝下10センチ以上あります…しかし、体は迷い沢のアクシデントから回復したようで股関節は痛くありません。
順調です。10分休憩をコレまで2回取り、水分補給もしました。登りの行動時間は1時まで。何があってもその時間を過ぎたら下山開始です。残り…3時間























登ること意外何も考えず、まさに黙々と登っていると20mくらい前方を急にウサギが横切りました。
実際の野うさぎは警戒心が強いのでなかなか見ることができません。今までも足跡ばかりの確認でした。
進行方向が巣穴の方向なのであまり近寄らないようにして望遠で撮影です(左)。

10時39分 (右上) 826mポコを左手にしながら登り続け10時47分、だんだん先が開けるように木々の密集度が低くなりだします(右下)。
ここから方向を変えてショートカットするルートを選択しました。



















後ろを振り返ると、まだ日本海が見えるので天気はあまり崩れていない様子です(左)。
10時56分 ようやくピリカ台(971m)からの峰の取り付き斜面に出ることができました(右)。
ここまで小さな谷らしき部分が2本ありドッキリしましたが、運良く積雪が十分あったので谷を埋め尽くしスノーブリッジのようになっていたのでストックで確認しながら進んできました。
冬道ルートならではの醍醐味です。


















峰への取り付き斜面で見る光景は、一種威容です(上)。積雪は膝上だったので、最初は雪崩を心配しました。
でも、ウサギの通った跡を見つけ、そこを登ると積雪が少なくなく下が締まった雪であることを確認できたので直登しました。
雪庇もできていない登りやすい斜面。登った部分が下山時に分かりやすいよう←部分と奥の木2本に目印を着けました。

(1個では見落とす危険があるためです)下山時の道迷いで一番多いのが下りすぎること(百松沢山の経験が苦いです)。
この下る部分が確定できれば、下山は楽になります。

















11時12分 峰に上がりました(マップ上Cです)。
案の定、登った峰は、だだっ広く目印を打とうにも対象物がまばらです(上)。
1123mピークが右に見え、中央部分に霞んだ頂上部分が確認できました。

しかし、この地形…ホワイトアウトをしたくない地形です。
なので目印をハイマツに縛り付ける時はできるだけ2つ、進む方向を示すように結びました。
どうせこの地形なら、ホワイトアウトしなくても風で自分の踏み跡は下山時になくなっていることでしょうから…












進んできた方向を何度も確認し、目印を覚えます(上)。
登る方向ばかりに集中していると下山時に「あれ?こんな風景だったかな?」と不安が先に立ちます。
この不安が焦りを呼ぶケースが多いです。登山に焦りは禁物です。ミスを誘発するからです。






















ハイマツには全てエビが着いていましたが、その着き方が変わっていました。
枝に近い部分は氷です。氷の先に白いエビが発達している形です。目印を縛るときはその氷ごと除去しないと結べません。
















11時46分 足元はガリガリのクラスト部分が続くかと思えば膝上のラッセルが出てきたり気を抜けない登りです。
ハイマツも集団を形成するように分布しており、その塊が風の方向に吹き溜まりを長く作っている要因のようです。
ここで進行方向に赤い点を発見しました。何かなぁ…と近づくと












しっかりしたデポ旗が1本打ってありました。なんとも心強い味方です。リボンではなく真っ赤な旗なので目立ちます。軸は細い竹でした。


















11時56分 (上)いよいよ頂上が近づいてきましたが…残された時間が気になります。
地図で確認する暇さえ惜しい気がして距離は測りませんでした。だって…そこに見えるんですから…残りはあと1時間!

















頂上直下の急斜面下では「登るか?引き返すか?」とロミオとジュリエットの感覚でした。
画像はカメラの調子が悪く(低気温のためシャッターが下りない状態)その様子が写せませんでした。
それでも意を決して登り始め、20分で急斜面を攻略して目指す頂上を!と思ったら、まさにそこは白の世界…まったく先が見えません!

横を見れば黒い空間がポッカリ!(南側の急斜面です)白い悪魔が私を襲ってきている感覚でした。
ホウホウの態で、その場を撮影して下山開始。
12時34分、頂上の印確認は次回、残雪期の好天気のときにしよう!とっとと降りよう!と思ったのですが…降り口が分からないほど一瞬ホワイトアウトし、焦りました。
しかし、落ち着いて急斜面の踏み跡を見つけ出し、下山方向を無事見出しました。



















ホワイトアウトの切れ間を利用し、急斜面の降り口から下山方向を撮影しました。しかし…マッシロ。
南(右)側の崖部分が、ウッスラ見える程度です。
自分のデボ旗を頼りに…途中の真っ赤なデポ旗を頼りに…峰の降り口は案の定分かりにくく目印を2箇所にして正解でした。

振り返れば頂上付近は全てマッシロ。「良い時に下山できた」と一安心…あとはジックリ下山です。
登ってきた順序を思い出しだし、楽しみながらの下山でした。
駐車場所には、2時55分に到着。登りが5時間19分。下山は2時間20分ほど。厳冬期のシューを使った登山としてはスピード登山ができたと自信になりました。


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