黒岳の続きです

私の目の前に現れたのが左下画像です。進行方向は木と竹ヤブで進みようがありません。5メートル下に夏道が確認できました。しかたなし…木につかまって鉄棒から降りるように下に降り、進行方向を見上げたら…雪の壁です。70度くらいの雪壁は、雪が柔らかいのでキックステップをすると階段状に登れそうですが、最終の垂直な1・5メ−トルをどう登ろうか悩みました。そうです!手を使って雪面の上に穴を開けて手がかりを作り…よじ登りました。横にある枝に足をかけたりして…必死でのぼりました。下山時のことは…考えません。(笑)

















登り終えると雪渓が二手に分かれています。右横には錆びた看板が斜面に立てかけてありました。「これより先、右側の肩は雪庇が発生して非常に危険です。雪庇危険の看板より右側は…」錆びてよく見えないじゃありませんか(笑)。
比較的道幅が広い右方向を選択して進みます。すると斜面は一面の雪です。しかし、掴むと支持になる枝が沢山あるのでアイゼンを装着せずに進みます(右)




35度くらいの角度を持つ斜面で足元は溶けかかった山用語で言う「腐った」雪面です。一歩一歩キックステップを踏むので体力は消耗気味です。登山口から斜面角度は緩くなる事はありません。体力強化訓練にはもってこいの山行です。ロープーウェイの鉄塔が見えました(左)。尾根を外さないよう気をつけながら歩を進めました(中)。真っ直ぐには登れる箇所が少なく。頭の中は無理なく枝をかわし、体力を落とさず登れるルートの選択で一杯です。振り返るとなかなか手を焼く斜面だなと思いました(右)。




夏道を通ると雪が残っていて道の中心を歩いていても「ズボッ!」とはまる事が多いので、よほどシッカりした雪の状態以外は雪上を歩かず道の脇を進みます(左)。目印のオレンジテープは心強いです。しかし・・・まだ着かないのかなぁ…と弱気になった頃ロープーウェイ駅に電気を引っ張っている電柱が現れました。木々の奥には駅の姿がシッカリ見て取れます。









駅の直下から登ってきた方向を見たら…ニセイカウシュッペ山が雲に隠れてますが…晴れれば素晴らしい姿である事が想像に安いです(左)。ロープーウェイ駅(5合目)へ10:12に到着し、これからの進行方向を撮影しました(右)。層雲峡を訪れた観光客が登ってきているようです。ワイワイガヤガヤしていました。一人として登山者はいません。私一人…注目を浴びるように異色なので居心地が悪いことこの上ありません。





言葉を聴くと関西から来道した観光客、ほかは…中国語でした。10:19 登山届けを駅で記入して水分補給し、ロープーウエイ駅からリフト乗り場方向へ進むと…リフトは休止中で点検作業をしていました。登りでは人工の力を借りるつもりはありませんので休止中は気になりませんが、前方には・・・念願の黒岳山頂が見て取れました。登り始めは雲がかかっていたので山頂を拝めるとは思っていませんでした。ラッキーです。リフト乗り場からはスキーのコース上を歩きます。リフト降り場が7合目です。(右下)




11:36 リフト降り場の手前で登ってきた方向を写しました(上)スキーコース上はシューを履きましたが、リフト降り場に着て見ると登る斜面の角度は増すばかりです。雪面上の雪が溶けかかっているのでシューの爪では所々「ズル!」と滑りますのでシューをデポすることにしました。休憩を20分ほど取り、後は坪足でアイゼンを装着です。これが正解でした。両ストックはバランスを取るため持ち続けます。




リフト降り場からは一昨日に登った方の踏み後が白く残っているので進行方向に迷う事はありません。しかし、ドンドン角度がきつくなります。角度は40度以上を越えてきました。斜めにトラバースするルートが続き、しっかりアイゼンを効かせて登るテクニックが必要になってきます。頂上付近にある「マネキ岩」が霧にかすんで進行方向に見えてきました。夏道は画像の右上ですが、ここはまだ残雪期なので直線状に思ったとおりのルートが取れます。その分登るスピードは緩めにしないとすぐにバテそうです。ここの夏道部分は右にある峰上を辿り、9合目からはジグを切って進むルートのはず…




12:10 はっきりマネキ岩が見えました。手前に標識が確認できます。12:20 9合目の標識である事が確認できました。計画では、ロープーウエイ駅に到着するのが9時半〜10時ころと思っていたので10分ほどの遅れでしたが、ここに来て山頂到着予定の12時半が達成できなくなるのが確実なので(あくまで計画ですからね)多少甘くして「1時までに登れればいいや…」とハードルを下げる事にしました。










9合目からは傾斜45度の斜面が続きます。しかも表面はズルズルですが、下はガッチリ固い雪だったり、太ももまで「ずぼっ!」と埋まってしまうハイマツのそばなど気が抜けない場面ばかりです。慌てずキックステップを確実にする事に努めました。だって…ここで滑ったら…100メートルは45度の斜面を滑落です。1歩1歩は疲れても確実なのが一番でした。 一面の雪面なので今更ジグを切って進む訳にも行かないので直登を続けます



12:42 たぶん山頂への最終アプローチであろう夏道に出会いました。アイゼンは着けたまま「ガチャ!ガチャ!」とロボコップになった気分で登りました。したのパノラマは、上のパノラマ画像で中央に見える杭の辺りで進行方向をパノラマ撮影です。



雪がビッシリなのでアイゼンを脱がない理由が分かりますよね。





12:48 頂上に到着しました。積雪はゼロです。辺りは霧で真っ白…「大雪の山並み」看板を見ながら、その方向を撮影しました(上右)「石室はこっちだなぁ…今度テントを持って来たときは、待ってろよ…」と心の中で言葉を刻んで撮影です。
頂上標識の傍で岩を枕にして寝そべり残りの昼食を食べ終えると…霧が濃くなってきているようです。これ以上とどまって「ホワイトアウトはいただけません。13時ジャストに降り始め、頂上直下でパノラマ画像を撮影した場所まで降りてくると案の定、霧がびっしりです(下)。30m先位は見通せるので気をつければ足元を滑らす事はないと確信して降り続けました。






かかとをシッカリ踏み込めるように確認して歩を進めます。ストックでバランスをとり、歩幅は狭めにします。ようやく45度の斜面を過ぎてリフト降り場が見渡せる位置まで来ました。ホッと一安心です。




滑落しないように慎重に歩を進めたので遅れ気味だった計画時間は、まったく持って大きく外れてしまいました。なので片道だけロープーウエイを使う事にしました。あの駅から下の部分をもう一度下るには時間が少なすぎます。後は層雲峡に帰るだけ・と言うなら話は別ですが、明日は仕事。帰って洗濯と食事作りがありますので無理はしないことにしたのです。何分、単身生活ですからネ。楽する時は楽するのです。





下山届けを記入してから2時のロープーウエイに乗り登ってきたルートを確認してみました。…ぜんぜん見えません。唯一、登り始めにあった崖が確認できました。右下。この崖の裏側を登ったのです。きついはずじゃわいな…





疲れているはずなのにロープーウエイの中で正面に眺めたニセイカウシュッペが印象に残り「次だな…」と微笑んだ事は間違いありません。 
                          
                                                     
                                                                              登山道トップへ戻る

inserted by FC2 system